まずはひじきそのもののおさらいをしておきましょう。 ひじきとは、褐藻(かっそう)類ホンダワラ科ホンダワラ属に分類される、海藻の一種です。波が荒い海岸近く、岩場などに多く繁殖します。北海道の南部から広域で収穫することができ、中国や朝鮮半島などでも収穫されます。
ただ、夏以降の海水温が上昇する時期に成長し、比較的暖かい海で生育しやすいと言えます。そのため太平洋側や瀬戸内海のほうがやや広域に収穫され、日本海では南部で主に育つとされています。
その後春ごろに旬を迎え、収穫時期がやってきます。旬を過ぎてくると葉が硬くなってくるため、この時期に収穫されるひじきは主に乾物として流通することになります。
食材としては、味や香りに癖が少なく、調理がしやすいです。特に煮物料理などでよく利用されています。
産地によるブランドなどとは別に、ひじきには種類があります。「長ひじき」と「芽ひじき」です。
茎の部分を長ひじきと呼び、「茎ひじき」と呼ぶこともあります。こちらは比較的ボリュームがありますし、歯ごたえが良いのも特徴的です。炒め物や和え物に合い、歯ごたえがあることから煮物として利用するのも適しています。
芽ひじきには「姫ひじき」や「米ひじき」という別名もあります。ひじきの葉の部分で、長ひじきに比べると食べ応えには欠けます。ただ、水で戻るのも早く、食材とも絡みやすいことなどから、調理の際扱いやすいという特徴を持ちます。
ひじきご飯には芽ひじきが適していると言われていますし、柔らかい食感からサラダや和え物にもぴったりです。
ひじきは健康にとても良い食材です。健康維持のために必要な栄養素が他の食材と比べても豊富に含まれており、簡単に入手できるという面からも優れていると言えるでしょう。
ただ、栄養面に関して注意すべきことが1つあります。それは「必ずしも豊富な鉄分が含まれているわけではない」ということです。かつてひじきは鉄分を多く含む食材として知られていましたが、近年になってそれが正しいとは言えなくなっています。鉄製の釜による加熱処理が原因で、結果的に鉄分が多く含まれていたからです。文部科学省が公表したデータでも、下処理に用いる釜が鉄製なのか、ステンレス製なのかによって、鉄分の含有量が10倍近く違っているということが分かっています。
しかも、現在主流なのはステンレス製の鍋であり、従来の認識よりも少ない鉄分しか含んでいないことになります。鉄分摂取を主目的にひじきを食べているのであれば商品選びや食材選びを見直す必要があるでしょう。
下処理を何製の釜でするのか、これが含有される栄養価に響いてくるということを説明しました。ただ、考慮すべき事項はこれだけではありません。下処理の方法以外にも、加工手法や生育時期によっても異なるのです。
川崎医療福祉学会誌によると、下処理時の「加熱時間」も鉄分含有量に影響を及ぼすということが分かっています。例えば鉄製の鍋で30分加熱した場合と360分加熱した場合とでは、なんと30倍以上の差が出たのです。そして30分の加熱の場合には文部科学省が出したデータよりも下回る含有量であることも分かっています。
つまり、鉄製であったとしても鉄分の含有量が多いと単純に捉えることは早計です。鉄分について厳密に考える場合には加熱時間も考慮しなければなりません。
他には、乾物かどうか、生育時期によっても栄養価は左右されます。旬に近い12月〜1月になるとたんぱく質の含有量が増えるとも言われています。
こういった事実を踏まえた上で、次項の栄養価および効能について見ていきましょう。
ひじきは低カロリーかつ豊富な栄養素を含みます。一度で大量に食べることはあまりありませんが、必須アミノ酸の含有量比率は白ご飯よりも高く、脂質は特に乾物で低い傾向にあります。脂肪酸組成に関しては多価不飽和脂肪酸が豊富であることから、魚介類に類似するとも言えます。
特徴的なのはカルシウムと食物繊維、そしてヨウ素が豊富であるということでしょう。 100gあたりで換算すれば牛乳の10倍以上もカルシウムを含んでいます(牛乳110mgに対してひじき1400mg)。カルシウムはよく知られているように骨の成形を助ける作用がありますし、たんぱく質同様子どもの背を伸ばすことにも効果的な栄養価です。一度の摂取量も考慮しなければなりませんが、効率的にカルシウムが摂取できることには変わりありません。なお、このカルシウム含有量は海藻類の中でもトップクラスです。
次に食物繊維ですが、可食部100gに対して40g以上も含んでいます。 食物繊維は、排便をスムーズにしますし、生活習慣病の予防にも繋がると考えられています。特に海藻類に多く含まれる食物繊維の一種、アルギン酸は、コレステロールや血圧低下の作用があると知られており、抗腫瘍作用も期待されています。
ヨウ素はたんぱく質の合成、酵素作用にも効果があるとされており、基礎代謝の促進など、細胞の新陳代謝を担うと考えられています。そのためこの観点からも、子どもの成長期における発育促進には良い食材であると言えます。
続いて、ひじきの選び方について紹介していきます。
着目すべきポイントは主に以下です。
・味
・香りや風味
・食感
・固さ
・見た目
・コスト
各々の好みにもよりますが、基本的には光沢がある黒色、そしてぴんとしているものは良い状態のものと評価できます。また、全体的に大きさが揃っているのもポイントでしょう。 このポイントを参考に、産地別ひじきの特徴を紹介していきます。
感じ方は人それぞれですが、業者が見た産地別ひじきの特徴を紹介します。これまでと違うひじきを探しているという方は参考にしてみてください。
味◎ 香り・風味◎ 食感◎ 固さ◎ 見た目◎
宮城県産のひじきは全てにおいて満点です。ひじきの味や風味がしっかりとしており、ボサボサとした食感もありません。固さも丁度よく戻り、煮物を作ったときの出来が市販のものとはまったく違います。
漁師さんによって品質には雲泥の差がありますが、信頼できる、腕のある漁師さんと取引をしているお店であれば安定的に高品質なひじきを取り寄せることができます。
味○ 香り・風味○ 食感○ 固さ△ 見た目◎
海外のものと比べると味や風味が強くおいしい印象です。少し柔らかいのも特徴のひとつです。
味○ 香り・風味○ 食感○ 固さ○ 見た目△
戻すととても太いのが特徴です。戻した際、皮がむけてしまい見た目が悪くなってしまうことがあります。
味△ 香り・風味○ 食感○ 固さ○ 見た目◎
他のひじきと比べて特徴的な味です。
味△ 香り・風味△ 食感○ 固さ○ 見た目◎
韓国産・中国産のひじきは工場で加工しているため見た目は良いですが、味や風味は弱い印象です。国産のものに比べると味と風味があまり感じられません。
日本で流通する多くのひじきは韓国や中国産のものです。国産のひじきは海外産よりも2,3倍高いということも関係しています。ただ、国産のひじきを食べてみるとその味や風味の良さが分かるかと思いますので、一度購入してみることをおすすめします。
ひじきのおいしい食べ方として、戻し方やレシピについて紹介していきます。
ひじきを戻すのは難しくありません。ざっと洗い、その後たっぷりの水に2,30分ひじきを浸すだけです。指でつまんで潰れるくらいで切り上げると丁度いい柔らかさになります。
熱湯を使えば10分程度で戻すこともできます。茹でても良いですが、水や熱湯を使ったほうが栄養価の流出を防ぐことができます。
ひじきには癖がなく色んな料理に活用できます。サラダや和え物、炒め物、和食から洋食、中華にも合います。
特におすすめなのは煮物です。大豆や人参と一緒にだし汁、醤油、砂糖を入れて煮るとおいしく出来上がります。
煮物の下ごしらえとして、戻したひじきはよく水気を切っておきましょう。人参などは細切りにしておきます。油揚げを入れる場合には熱いお湯をかけて油抜きをし、こちらも水気をよく取って、細く切っていきます。
食材を数分炒めてからだし汁、醤油、砂糖などを加え、中火で煮汁がほとんどなくなるまで煮ましょう。その後ゴマ油を軽く加えて炒めれば完成です。
炊き込みご飯を作るなら、戻したひじきと人参、醤油などを加えてご飯と一緒に炊くだけです。アサリを入れても良いでしょう。こちらも人参は細切りにし、釜に入れたお米の上に乗せていきます。
ひじきそぼろ丼もおすすめです。水で戻したひじきの水気を切り、細かく刻んでおきます。人参と生姜もみじん切りにしておきましょう。
フライパンにゴマ油をひいて生姜を炒め、その後ひき肉も入れて炒めます。肉が十分に加熱できればひじき、人参も加えてさらに炒めます。炒り卵も作り、ご飯の上に乗せれば完成です。
意識せずスーパーでひじきを買っていたのでは、なかなか美味しいひじきに当たることはありません。本当においしいひじきをお求めの方はぜひ当店にお問い合わせください。
当店では質の高い宮城県産のひじきを取り扱っており、味を重視するお客様におすすめできます。味や風味がしっかりしていて、細めで食べやすいです。表面はツルンとしていますし、食感が良いのも特徴的です。
海外産のものに比べると少しお値段が高くなりますが、「おいしいひじきを食べてみたい」「ひじきを使った料理のグレードを上げたい」という方には、断然このひじきをおすすめします。