かつお削り節と言っても様々な種類があります。種類によって、風味や香りが異なり、取れる出汁も異なります。そのため、料理ごとに適したものと適していないものを判別し、上手く使い分けていくことが大切です。
そこでまずは、知っておくと便利なかつお削り節の種類と特徴を紹介していきます。
0.03mm〜0.1mmの薄さに削られたものを「薄削り」と言います。一般的には花かつおと呼ばれることも多く、スーパーマーケットや百貨店など、店頭で最もよく見かけるタイプです。その名の通り薄さが特徴で、出汁を取る際にも短い時間で足りるため、素早く料理をしたいときにも向いているでしょう。具体的には味噌汁やおひたし、煮物などの家庭料理に適しています。
0.5mm〜1mm前後の厚さに削られたものを「厚削り」と言います。出汁取り専用の削り節で、ゆっくり時間をかけながら出汁を取るため、比較的濃いという特徴を持ちます。東日本のうどん屋やそば屋でよく使われています。具体的な活用例としては、うどん、そば、煮物といった出汁の味を前面に出したい料理が挙げられます。
血合いの部分を除いて削られたものを「血合抜き削り」と言います。血合いとは、魚の身の中央にある茶色の部分を指し、かつおやマグロ、サバなどの赤身の魚に多く含まれています。この血合いを省いて削ることで魚の生臭さを抑えることができ、上品な風味の出汁が取れるのです。そのため料亭や旅館、日本料理店などで使われることも多いです。また価格も比較的高く設定されていることが多いです。こちらもお吸い物や茶碗蒸しなど、出汁の味を強調させたいケースに適していると言えます。
粉末状に削れられているものもあります。こちらは比較的安価に購入でき、手軽に様々な料理に活用できます。味噌汁やうどん、そばの出汁としてはもちろん、お好み焼きや焼きそばのトッピング、おにぎりの具、冷奴にかけることもできます。このように出汁として使うだけでなく、料理の仕上げに加えることもでき、幅広く活用できます。
だしの素材があらかじめパックに詰められたものをだしパックと言います。上で紹介してきたものと比べると風味はやや落ちる傾向にありますが、最も簡単で、かつ短い時間で本格的な味を再現できるのが特徴です。
かつおのみを使ったパックや、昆布と合わせたもの、椎茸と合わせたものなど様々な商品があります。こちらもやはり多様な料理に利用できます。また、出汁取りだけでなく、パックを開けて中身をごはんにかけ、ふりかけとして使ったり、チャーハンや野菜炒めなどの調味料にしたりもでき、工夫次第で色んな使い方ができます。
前項でも解説したように料理ごとに最適な種類が存在するため、用途に合ったものを選ぶことが大切です。ただ、初めて出汁を取ることに挑戦する方だと薄削りが良いと言えます。どの料理にでも万能に活用でき、煮出し時間も短いため比較的簡単です。そして作業に慣れてきたら、濃くしたいときには厚削り、薄めにしたいときには血合い抜き削りを使って挑戦してみてください。また、時間がないときやより簡単に済ませたいときには、だしパック・粉末タイプなどを使ってみると良いでしょう。
では、基本的な出汁の取り方やコツを紹介していきます。種類ごとに取り方が異なるため、それぞれに分けて解説していきます。
1. 鍋に1Lの水を入れて強火にかけ、沸騰させる
2. 100ccの水を入れてお湯の温度を下げる
3. 薄削り30gを入れて再度沸騰
4. 沸騰したら火を止め、2分程度置く
5. ザルに布巾やキッチンペーパーを敷いて、こす
煮出す時の温度が高過ぎたり、長い時間煮出したりすると、魚の生臭さが出てしまい風味が悪くなってしまいます。そのため、最初に沸騰させた後で、水を入れて温度を下げること、煮出す時間が長くならないよう意識しましょう。
また、煮出し中に削り節を押したりかき混ぜたりすると苦みが出る原因となるため、なるべく触らずに放置するよう注意してください。
1. 鍋に1Lの水を入れて強火にかけ、沸騰させる
2. 弱火にして厚削り50gを入れる
3. 40分程度、煮出しながら、アクを取る
4. 火を止める
5. こす
最後のこす過程は薄削りと同様です。ゆっくり時間をかけて煮出すことで、濃厚でコクの深い出汁が取れます。薄削りや血合抜き削りと比べると煮出しに時間を要しますが、焦らずにじっくり時間をかけて煮出しましょう。また、厚削りの場合、煮出し後に削り節が浮いてくることはほとんどなく、出し殻は鍋の底にあるため、こす必要がなさそうであればこさずに使うこともできます。
1. 鍋に1Lの水を入れて強火にかけて、沸騰させる
2. 100ccの水を入れてお湯の温度を下げる
3. 血合抜き削り30gを入れる
4. 火を止め、2分程度置く
5. こす
ポイントは、薄削りの煮出し方法と同様、沸騰後に水を入れ、温度を下げてから血合抜き削りを入れるという点です。また、他の削り節は煮出す方法だけでなく水出しも可能ですが、血合抜き削りに関しては、水出しで出汁を取ることが難しいため、必ず煮出しで取ってください。
1. 鍋に1Lの水と粉末30gを入れて中火にかけて、沸騰させる
2. 弱火にして、2分程度煮出す
3. 火をとめる
他と異なるのが、最後にこさずにそのまま使えるという点です。こす手間が必要ないため簡単で、出し殻も残らないためかつおの栄養をまるごと摂取できるという良さもあります。
1. 鍋に規定の分量の水とだしパック1袋を入れて中火にかけて、沸騰させる
2. 弱火にして、規定時間煮出す
3. 火をとめる
4. だしパックを取り出して軽く絞る
粉末同様、最後にこす必要がなく、パックを取り出すだけでいいので手間を取りません。規定分量や時間は商品によって異なりますが、3分〜8分程度の煮出しのものが多いでしょう。煮出している過程でパックが浮いてきたら、お箸やお玉を使って沈めてください。また、火を止めた後にパックをそのまま放置しておくと風味が落ちてしまうため、火を止めたらすぐに取り出しましょう。
一般的にはかつお・昆布を合わせたものを「合わせ出汁」と呼びます。かつおに含まれるイノシン酸と昆布に含まれるグルタミン酸を合わせることで旨味成分の相乗効果が起こり、より美味しく仕上がります。以下では基本的な合わせ出汁の、一番出汁の取り方を紹介します。
1. 昆布の表面の汚れを乾いた布巾やキッチンペーパーで拭き取る
2. 鍋に1Lの水と昆布5gを入れて20〜60分程度置く
3. 弱火にかけ、ゆっくり煮出す
4. 昆布が浮いてきて周辺から気泡が出てきたら、昆布を取り出す
5. 中火〜強火にして沸騰させる
6. 強火にして、鍋の底から気泡が出てきたら薄削り30gを入れる
7. 火を止め、2分程度置く
8. 時間をかけてじっくりこす
昆布が入った状態で沸騰させてしまうとぬめりが出たり、旨味成分が失われたりするため、沸騰する前に取り出しましょう。また、出し殻を二番出汁に活用する場合は、最後のザルでこす過程において、絞らずゆっくり時間をかけてこすようにしましょう。
作り過ぎて余ってしまった時や、作り置きしておきたい時に活用できる保存方法を紹介します。冷蔵・冷凍の2つの保存方法を紹介するので、用途や保存期間など、目的に合う方法をそれぞれ選びましょう。なお、常温保存はすぐに傷んでしまう可能性が高いため、必ず冷蔵もしくは冷凍で保管するよう注意してください。
冷蔵・冷凍保存を活用すると、毎朝のお味噌汁作りの手間などを大幅に減らすことができます。ぜひ活用してみてください。
冷蔵保存の場合は、出汁をよく冷ました後、保存容器に入れて冷蔵庫にて保存します。保存容器はどのようなものでも良いですが、タッパーやピッチャー、ペットボトルなど、蓋がしっかりと閉まるものであれば、少々横になってしまってもこぼれないため安心です。冷蔵保存は、使用する時にすぐに使える点が良いです。保存期間は1〜2日程度と短いため、翌日もしくは翌々日に使う予定があれば冷蔵保存で良いですが、特に予定がないのであれば、次に紹介する冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存の場合は出汁をよく冷ました後、タッパーやフリーザーパック、製氷機などの保存容器に入れて冷凍庫にて保存します。
使用する時には、前日に使いたい分のみを冷蔵庫へ移し解凍しておきましょう。翌朝にはしっかり解凍できてすぐに使える状態になっています。
2〜3週間程度は保存できますが、日が経つに連れて風味が失われたり、冷凍庫の匂いや他の食材の匂いが移ってしまったりする可能性があるため、なるべく早めに使い切るようにしましょう。
かつお削り節のこと、そして出汁の取り方やコツ、保存方法についても解説しました。最近では、便利な顆粒だしやだしパックがスーパーマーケットで簡単に購入できますが、やはり、かつお削り節から取った出汁のほうが美味しく感じるという方も多いのではないでしょうか。様々な出汁の取り方を覚えておくと本格的な味も楽しめますし、料理の幅も広がります。
ここで紹介した方法はどれも簡単なものなので、慣れればそれほど手間もかかりません。冷凍保存や冷凍保存なども活用し、ぜひ美味しいかつお出汁を取ってみてはいかがでしょうか。